「益税」を考える

消費税の基本的な考え方は、国内において事業者が、売り上げとともに受け取った消費税(地方消費税を含む。以下同じ)と仕入や費用とともに支払った消費税に差額があり、受け取った消費税の方が多い場合は、その金額を納税し、逆に支払った消費税の方が多い場合は、その金額を還付するというものです。  

つまり、現実に消費税を負担しているのは消費者であり、事業者は消費税を預かったり、立て替えたりしているだけといえます。

この仕組みの通りに消費者が消費税を負担し、事業者が納付すれば、消費税は簡単な仕組みなのですが、消費税にはいくつかの例外規定が設けられていて、それによって「益税」が発生します。

すべての事業者が消費税を納税すべきところですが、小規模な事業者からも消費税を徴収しようとすると、その徴収コストの割には成果を生まないし、小規模な事業者の事務負担が重くなることもあり、前々年の課税売上高が3000万円以下の事業者については本来納付すべき消費税の納税義務が免除され、これが「益税」となります。

これと似たものに、前々年の課税売上高が2億円以下の課税事業者は選択により、簡易課税という方法で消費税を計算することができます。この簡易課税制度を選択すると、事業者の行う取引を第1種から第5種の五つに区分し、<表>のようにそれぞれの取引ごとに売り上げとともに受取った消費税の10%から50%を納税すればよいことになっており、この特例で計算した金額が原則どおり計算した金額より少ない場合の差額が「益税」となり、免税事業者の「益税」と並んで世間の批判を受けているところです。

ただし、免税事業者は、仕入や経費とともに支払った消費税の方が多く、本来でしたら消費税が還付になる場合でも還付を受けることは出来ないし、課税事業者がいったん簡易課税制度を選択すると、原則どおりに計算した消費税より簡易課税の方が不利になる場合でも、簡易課税の方法で計算した消費税を納税する必要があります。また、「益税」は利益とされるので、課税対象にもなります。

このように「益税」にはさまざまな面があり、課税実務に携わる者としては、現行制度での若干の「益税」は止むを得ないのかなというのが実感です。

簡易課税を選択した場合の課税売上に対する消費税納付割合

区   分

消費税納付割合

@第一種事業

卸売業

10%

A第二種事業

小売業

20%

B第三種事業

製造業、建設業、鉱業、農林水産業等

30%

C第四種事業

飲食業、金融保険業等@ABD以外の事業

40%

D第五種事業

不動産業、運輸通信業、サービス業(飲食業を除く)

50%