遺産の分割について

私が相続の仕事の際に一番困るのは、相続人同士でもめて、遺産分割が出来ないときです。

相続が発生すると、亡くなった方の財産及び債務のすべては、遺産分割がととのうまでは相続人間で共有の状態にあります。

分割するには、誰が相続人か? 誰がどの財産または債務を相続するのか? それについて全員承諾しているのか? ということを証明する必要があります。

まず相続人を証明するために、亡くなった方とその相続人の戸籍謄本をそろえて相続人を確定しなければなりません。

次に、この確定した相続人全員の協議により、誰がどの財産、債務を相続するかを記した遺産分割協議書を作成し、相続人全員の署名(又は記名)と、実印の押印が絶対条件になってきます。当然、印鑑証明書の添付も必要です。

この分割協議が不調の場合、預金は全て凍結されて出金できなくなり、葬儀費用の支払いもままならなくなります。さらに借入金の返済もストップしてしまい、返済出来ない期間に対して高額の遅延損害金を請求されたりします。

相続税が課税される場合、亡くなった方の配偶者が1/2の純財産までを相続しても、原則として相続税が課税されません。また、例えば自宅などについては200平方?までは80%の評価減を受けることが出来る大変有利な特例があります。これらの特例は、該当する遺産が分割されるまでは適用がないし、相続が発生してから3年10カ月を超えると、その後に遺産分割がととのっても、原則としてこれらの特例は適用されません。

それだけではありません。相続税の納付は、遺産が未分割であっても待ってもらえません。そこで延納という特例を使うにしても、未分割ですと担保の提供ができないので許可がもらえませんし、不動産を売却して相続税を納税するにも名義を変えることができないのでこれも不可能です。

このように最近の相続手続きにおいて一番重要で問題になってくるのは、1に遺産分割対策、2に納税資金対策、最後に節税対策と言われており、バブル景気の頃とは順番がまるっきり反対になっています。

この遺産分割対策で最も効果的なものは、生前に自分の遺志として遺言を作成しておいてもらうことです。遺言があれば、財産及び債務の名義書き換えが可能なので、上記の問題点は全て解消されます。

何より残された遺族が、みんな仲良く故人の遺産を大事に受け継ぐことが、故人の最も望む遺志ではないでしょうか。